保育経営理念

一人ひとりの子どもたちに 生命(いのち)の尊さを
―自然との対話・実体験・造形活動・手作り保育―
―インクルーシブ保育・しなやかな心と体づくり―

 『ポストの数ほど保育所を?』全国各地で働くお母さんたちと保母(保育士)たちが声を上げ、良くも悪くも保育所や働く女性が何かと社会の注目を浴びるようになった昭和50年代、右京区内にも次々と保育所が新設されていました。そんな中、ここ西院の地に60名定員の保育所として設立されたのが西院保育園です。設立当初は、公設民営「京都市西院保育所」として認可されました。狭い園庭には、ブランコと鉄棒があるだけ、木もなければ花も咲いていない殺風景なものでした。保育室にも最低限の設備があるだけ、ないないづくしの中で保育をするために、保護者と協力して少しでもより良い環境を子どもたちのためにと知恵を出し合い、工夫をこらし様々なものを手作りしました。職員をはじめ、色々な方々から寄贈頂いた花や木が植えられた園庭は、小鳥や虫たちも訪れる緑豊かな遊びの場に変身しました。保育方針に掲げられている『自然との対話』『手作り保育』は、設立当時の原体験が今も引き継がれていると言えます。

 昭和・平成・令和と時代は進み、子どもを取り巻く社会情勢や家庭環境・保育環境は、大きく様変わりをしています。地球温暖化による自然災害、後を絶たない児童虐待、引きこもりや貧困問題、少子高齢化問題、超情報化社会。進化し続けるスマホは、もはや0歳児でさえも使いこなさんばかりに手を差し出し触れようとします。『テレビに子守りをさせないで!』『スマホに子守りをさせないで』のキャッチコピーは時代遅れの体を露呈し、その対策を云々する間もなく、もはや子育ての必需品となってしまっているようにも感じます。
 知りたい情報、手に入れたい情報は瞬時に手元に届き、発信した情報は本人の意思とは無関係に、これまた瞬時に世界の片隅にまで届けることが可能な時代になっています。新型コロナウイルス感染症の情報も、毎日刻々と情報が流れ、色々な情報源から様々な情報収集ができる一方で、どこからの情報なのか、信頼できる情報なのか、精査する人と時間が必要でした。

 超情報化社会に生きる子どもたちとって保育園は、実体験の場であり、人と人とが集い触れあう生活の拠点であると言えます。10時間の睡眠時間を除くと活動時間のほとんどを保育園で過ごす保育園児にとって、「養護と教育」「遊びと生活」の質と内容が、その成長・発達に大きな影響を及ぼすことは、いうまでもありません。
 今、あふれんばかりの情報の中から、子どもたちに必要な『生きるための力』を育む保育とは何かを改めて考えてみると、それは、唯一無二の『生命の尊さ』を子ども自身が実感し自覚することだと確信しています。0歳の子どもがそんなことできるわけがない。そう思われることを否定はしませんが、0歳児保育を担当している保育士は、おいしい離乳食を口にした時の子どもの笑顔、もっとほしいと手を伸ばしながら保育士を見つめる瞳から、0歳児の生きる力を感じています。好きな保育士や玩具に向かって一所懸命に足を蹴り、近づこうと這い這いする子どもは、全身から生きる力があふれています。言葉ではなく、心と体で感じる理解なのです。

 風を感じ、お日さまのぬくもりを喜び、土や砂や泥んこの感触を楽しみ、草や花、虫や小動物と触れあうこと。おいしい離乳食や給食を手づかみやスプーンを使って食べること、優しく明るい声で絵本を読んでもらうこと、歌を聴き、音楽に合わせて体を動かすことなど、園での日常生活や活動は、造形活動における初めの一歩であるととらえています。だからこそ乳児期には手・足・体・頭を十分に使って遊びこめる人的・物的環境を整えなければなりません。五感(視・聴・嗅・味・触)を育て、豊かな感性を育むためです。楽しいね、おもしろいね、びっくりしたね、怖かったね、悲しいの?どうしたのかな?とその時々の子どもの気持ちに寄り添い共感してくれる保育士、笑顔で見守り、時には抱っこをしてくれる保育士が必要です。安心できる人がそばにいることで、情緒が安定し信頼関係が深まり、自己肯定感とともに他者への興味や関心が生まれるからです。そして、意欲やチャレンジ精神が形成されていきます。

 幼児期において大切にしていることは、よく観る、よく聴く、よく考えること、実体験を通して本物の良さを知ることです。そして、「食べることは生きること」毎日の給食や食育活動を通して、生命の尊さとは何か、自分たちは生命の循環の一部であることを知ってほしいと願っています。開園当時から取り組んでいる縦割り異年齢保育と障がい児保育は、平成30年度より 『どの子も当たり前に、わけへだてなく一緒に保育する』すなわちインクルーシブ保育として実践、継続しています。差別化や子どもの貧困が増加している社会の中で、社会福祉法人に所属する一人の保育士(職員)として、『すべての子どものための保育』としなやかな心と体作りは、最重要課題ではないかと思っています。

 今年度も、保育の質を高めるために、研修時間の確保と働く環境の整備が課題です。
一人ひとりの子どもたちの育ちと発達を支え、気持ちに寄り添い、言葉にならない言葉に耳を傾け、何気ない行動や表面化されない「気持ち」や「心の動き」を読み取ることができる保育士(職員)集団を創っていきます。
 子どもたちの笑顔と元気を、保護者・保育園・地域社会が手を取り合って守っていかなければなりません。明日への希望を紡いでいくために、保護者会の協力とお力添えも重ねてお願いいたします。

西院保育園園長 木嶋 曉子

社会福祉法人すみれ会 西院保育園

電話 075-311-3412

FAX 075-321-2857

 

所在地

〒615-0036
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分園 京都市右京区西院高田町2番地